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岐阜地方裁判所高山支部 昭和53年(ワ)23号 判決

原告 有限会社 衣浦不動産

右代表者取締役 加藤久吉

〈ほか二名〉

右原告三名訴訟代理人弁護士 伊藤泰方

被告 国

右代表者法務大臣 坂田道太

右指定代理人 亀山忠男

〈ほか四名〉

主文

一  原告らの請求をいずれも棄却する。

二  訴訟費用は原告らの負担とする。

事実

(甲)申立

(原告)

一  被告は、原告有限会社衣浦不動産に対し金一、五〇〇万円、原告加藤久吉に対し金一、五〇〇万円、原告新東鋳造株式会社に対し金五〇〇万円、並びにこれらに対する昭和五〇年九月一日から支払済に至るまで年五分の割合による各金員を支払え。

一  訴訟費用は被告の負担とする。

との判決、並びに仮執行の宣言。

(被告)

一  原告らの請求をいずれも棄却する。

一  訴訟費用は原告らの負担とする。

との判決、並びに仮執行の宣言をするときは担保を条件とする仮執行免脱の宣言。

(乙)主張

(原告らの請求原因)

第一  一 (一)(1) 原告有限会社衣浦不動産(以下原告衣浦不動産という)は、昭和四四年一二月二五日訴外亀井拾光に対し、弁済期日を昭和四五年二月二五日として金一、五〇〇万円を貸付け、別紙物件目録(一)(二)記載の土地(以下、本件(一)土地、本件(二)土地という)の譲渡担保を受け、岐阜地方法務局荘川出張所昭和四四年一二月二五日受付第一、九九二号により所有権移転登記手続を経由した。

(2) 原告加藤久吉は、昭和四五年一月一三日右訴外人に対し、弁済期日を同年三月一五日として金一、五〇〇万円を貸付け、別紙物件目録(三)記載の土地(以下、本件(三)土地という)の譲渡担保を受け、同地方法務局同出張所昭和四五年一月一四日受付第二六号により所有権移転登記手続を経由した。

(二) 右訴外人は右各弁済期日に債務の履行をしなかったので右各土地は名実ともに右原告らの所有に帰した。

二 原告新東鋳造株式会社(以下、新東鋳造という)は、訴外中村実から別紙物件目録(四)記載の土地(以下、本件(四)土地という)を買受け、同地方法務局同出張所昭和四五年三月一六日受付第二三六号により所有権移転登記手続を経由した。

第二  原告らは昭和五〇年八月ごろ、現地に赴き調査をしたところ、原告らが買受けた右各土地は山林であるがその実測面積(以下、実面積という)はいずれも登記簿表題部に表示されている地積の約一、〇〇〇分の一しかないことが判明した。

従って、右の実面積ではその経済的効用は全くなく、原告らはその所有権を取得するに要した金員、即ち原告衣浦不動産は金一、五〇〇万円、原告加藤久吉は金一、五〇〇万円、原告新東鋳造は金五〇〇万円の損害を受けた。

第三  一(一) 本件(一)土地は昭和四一年五月一一日岐阜県大野郡荘川村野々俣字後谷一、〇二三番の一から、本件(二)土地は同年八月二三日同村野々俣字後谷一、〇二三番の三から、本件(三)土地は同年五月一一日同村野々俣字後谷一、〇二三番の一から、本件(四)土地は同年一二月二四日同村野々俣字後谷一、〇二三番の三六からそれぞれ分筆されたものである。

(二) 因みに、岐阜地方法務局荘川出張所(以下、荘川出張所と略称する)備置のいわゆる公図(岐阜県大野郡荘川村野々俣組第弐拾八号字ウシロ谷絵図。以下、本件絵図という。)による本件(一)ないし(四)土地の形状は別紙図面(一)ないし(四)記載のとおりであり、その図面上の面積は本件(一)土地四・五平方糎、本件(二)土地六・〇平方糎、本件(三)土地一〇・九平方糎、本件(四)土地〇・六平方糎となる。この面積により登記簿表題部記載の地積を除した数字つまり一平方糎当りの公図上の面積は夫々本件(一)土地一四・六九三平方米、本件(二)土地一六・五二九平方米、本件(三)土地一五・三一八平方米、本件(四)土地一六・五三三平方米となる。

ところが、右各土地の東側に位置する隣地(岐阜県大野郡荘川村大字野々俣字後谷一、〇二二番山林三八、六七七平方米)の公図状の形状は別紙図面のとおりであり、その図面上の面積は三三八・一六平方糎、一平方糎当りの公図上の面積は一一四平方米となる。

尚、右の比較はもっとも違いの少いものをとったのであって、本件(一)ないし(四)土地の分筆前のもとの土地同県同郡同村大字野々俣字後谷一、〇二三番の一山林三、二八三、〇六一平方米以外の隣地と比べた場合その違いはもっと大きい。

以上のとおり荘川出張所備置の公図によれば本件(一)ないし(四)土地の面積は登記簿表題部記載の各地積の一〇六分の一ないし一二八分の一以下である。

二(一) ところで、(1)本件各分筆登記申請のように不動産の表示に関する登記申請に対する登記官の調査は、他の登記申請の調査義務と異り実質的審査が要求されている。そして、申請の内容と調査結果とが符合しないときは申請を却下すべきことを定めている(不動産登記法(以下、特に断らないで法という時は不動産登記法をいう)第五〇条第四九条第一〇号)。これは権利の客体である不動産の現況を常時正しく公示し、取引の安全をはかる為という近代資本制社会の要請に基いているものであることはいうまでもなく、登記官はその事務処理に当ってはこの趣旨にそうべきこと当然である。分筆後の土地の測量図(いわゆる実測図であるこというまでもない)の添付が求められているのも、この故に他ならない。

確かに分筆登記によって当該土地の所有者、隣接地の所有者の権利義務は影響を受けないが、分筆の登記申請は地目変更などの場合と異り報告的構造をとっておらず、その実行には実体上の土地の個数と範囲の変更がともなっている(法第八二条)。そこには登記官による実体上の処分が登記法上の手続と一体となっているのである。即ち、分筆は登記官の行為によってはじめて形成されるものであり、分筆の権限は登記官の専権(地割権)に属し、所有者のなす申請行為は単に登記官の分筆処分を行うための資料作成の手段にすぎない。実体上の土地の個数と範囲の変更は登記官の公法上の処分行為によるものであるとする現行の分筆登記の構造を前提とする以上、当然に登記官みずから職権によってでも右調査義務を尽すべきである。

(2)法第八一条の二第二項は土地の分筆に際しては分割後の土地の地積の測量図を添付することを要するとしており、法施行細則第四二条の四第一項は右測量図についてB列四番の強靭な用紙を以て二五〇分の一の縮尺によりこれを作成し、方位、地番、隣地の地番並びに地積及び求積の方法を記載することを要するとしている。

地積測量図では、まず分割線が明確にされなければならない(不動産登記事務取扱手続準則(以下、特に断わらないで準則という時は不動産登記事務取扱手続準則をいう)第一一一条)。分筆登記の申請は登記官の分割処分を求める申請だから、分割後の各土地の位置、範囲(分割線)を図をもって示し、登記官はこれを資料として分割線を決定する。従って、分割線を明確にということは、線自体が明瞭であるだけでなく、分割前の土地の境界がまず正確に図示されなくてはならない。

地積測量図には、さらに地積とその求積方法を記載する必要がある(準則第一一一条)。地積計算の方法およびその正確さを登記官に示すとともに、公示によってこれを一般に対して担保するためである。

ところが、同県同郡同村大字野々俣字後谷一、〇二三番の一山林三、二八三、〇六一平方米を同所一、〇二三番の一、同番の七ないし二一の一六筆に分筆しようとする土地分筆申告書を見ると、これに添付された測量図にはまず分筆後の同所一、〇二三番の一(その地積は八〇五、九〇二平方米)の記載がない。もとより分筆前の同番地(その地積は三、二八三、〇六一平方米)の形状もわからない。そればかりでなく隣地の地番も全く記載されておらず土地の所在もさだかでない。このことは右申告書添付分筆図によるも同様である。

地形図(分筆図)に元地の記載があるからそれで足りるということにはならない。地形図と測量図とは全く別の図面であり、片方に元地の記載があるからといって、もう一方に記載がなくてもよいというのは暴論である。測量図に元地の記載がなくて、つまり分割前の土地の境界がまず正確に図示されなくて、どうして登記官は地図上に正確な分割線を引くことができるであろうか。

結局、右分筆申告書によれば、同所一、〇二三番の一の土地は分筆前も分筆後も、その所在、形状ともに全く不明なのであって、このことだけをとってみても、右分筆申請は到底受理することのできないものといわなければならない。

分筆登記の際の地積測量図には分割後の一筆についての求積及びその方法は必らずしも記載しなくともよいとされており(準則第一一一条但書)、いわゆる差引計算による求積が認められているが、このことは地積測量図にその一筆を図示しなくてもよいことを意味するものではない。

さらに、右各添付測量図には求積方法の記載もない。各測量図に求積と題し三角計算の数式の記載はある。しかし、これは単なる計算であって、準則の要求する求積方法ではない。準則の要求する求積方法とは、実測にさいしとった方法である。右各測量図には少くとも長方形の土地にあっては四辺の、三角形の土地にあっては三角の長さが実測され、それが図示されていなくては境界の定めようがなく、分割線の引きようがない。

地積測量図の第一の機能は分割後の各土地の位置、範囲(分割線)を図をもって示し、登記官の分割線決定の資料に供するにある。右申告書では最も重要な分割後の同所一、〇二三番の一の土地と他の土地との間の分割線が全く示されていないのである。

結局、同所一、〇二三番の三の土地を同番地の三と二七に分筆しようとする土地分筆申告書、並びに同所一、〇二三番の三六の土地を同番地の三六、及び五七ないし六〇に分筆しようとする土地分筆申告書においても事情は同様であって、これらの申告書及び各添付測量図は不動産登記法、同事務取扱準則の定める要件を充たさず、これによって分筆後の土地の所在、分割線を特定することはできず、登記官の分割線決定にとって何の役にもたたないのである。

(二) 以上のように、本件各土地分筆申請についても、登記官が申告書、添付書面(地積測量図)、登記所備付の登記簿、地図等関係資料に基いて照合し調査すれば直ちにそこに記載されている地積が虚偽架空のものであって、右各分筆申請が土地の現況とは無関係に図面上の操作と計算だけにもとづいたものであることをただちに看破しえた筈であり、すくなくとも実地調査を必要とする場合であったことは誰の眼にも明らかである。

因みに本件(一)ないし(四)土地は同県同郡同村大字野々俣字後谷一、〇二三番の一山林四〇〇町歩と登記簿上表示されていたが、昭和四一年四月二二日以降昭和四二年三月一六日までの間に実に三〇回に亘り六五筆に分筆登記がなされており、これを申請した訴外亀井拾光の詐欺等の何らかの犯罪行為に因るものであることが明らかであることを考え併せば、当時の荘川出張所登記官石神力は単なる過失によって本件(一)ないし(四)土地の分筆登記を行ったにとどまらず、右訴外人と結託して地積不足を知りながらあえて同訴外人の為をはかったものとの疑いが強い(尚、以下土地は地番のみによって特定する)。即ち、

(1) 荘川出張所登記官は右各分筆に際し、その分筆申告書に記載された地積が実面積の約一、〇〇〇倍であることを承知のうえこれら分筆申告書を受理し、新たに表題部を起して分筆登記を行い、その登記簿の記載を信頼した原告らに前記のとおりの損害を与えたものである。

(2) 仮りに登記官に右のような故意がなかったとしても、いわゆる公図の記載等により各分筆申告書記載の地積が過大であることは当然知りうべきであったにも拘らず漫然分筆登記申請を受理して分筆登記を行った点において登記官には重大な過失がある。

三 登記官は国の公権力の行使に当る公務員である。

第四  よって、原告ら三名は国家賠償法第一条第一項に基き、被告に対し、原告衣浦不動産については金一、五〇〇万円、原告加藤久吉については金一、五〇〇万円、原告新東鋳造については金五〇〇万円、並びに原告らが損害の発生を知った昭和五〇年九月一日から支払済に至るまで右各金員に対する民事法所定年五分の割合による遅延損害金の支払を各求める。

(請求原因に対する被告の答弁)

一  請求原因第一項一につき、原告ら主張のような各登記が本件(一)ないし(四)土地になされていることを認める。その余は不知。同第二項のうち、右各土地の登記簿上の地目が山林であることを認める。その余は不知。同第三項一(一)を認める。同項一(二)並びに二(一)(1)(2)(二)(1)(2)を全て争う。同項三を認める。同第四項を争う。

二  原告らは本件各土地の実際の面積をば、荘川出張所備付けの旧土地台帳法施行細則第二条の附属地図(以下、公図という)のうち、本件絵図に基いて本件(一)ないし(四)土地を求積し、その面積をもって登記されている各筆の登記簿表題部記載の地積を除して公図上における一平方糎当りの面積を算出し、一方この面積を対比するため近隣に所在する岐阜県大野郡荘川村大字野々俣字後谷一、〇二二番の土地について前記と同様の手法により公図上の一平方糎当りの面積を算出し、これら概算の地積を比較したところ、本件(一)ないし(四)土地の面積については一〇六分の一ないし一二八分の一以下しかないから、本件各土地の実際の面積も一〇六分の一ないし一二八分の一以下しかないと推測している。

ところで、公図は明治二二年三月勅令第三九号民有土地台帳規則による土地台帳附属図面に始り、昭和二五年七月三一日法務府令第八八号土地台帳法施行細則第二条所定の地図として登記所に備え付けられ、その後登記制度と台帳制度の一元化に伴う昭和三五年三月三一日法務省令第一〇号不動産登記法施行細則の一部を改正する省令第一六条(土地台帳法施行細則等の廃止)により法制上廃止されたものであるが(本件各分筆申請は同改正省令付則第七条第一項第五号により従前どおり適用された)、公図そのものが本来徴税の目的に由来する野取絵図および更正地図を基礎として作られたもので、公図をもとに公図に記載された地番についてその地番と、他の地番との境界、形状について現地に復元することはできず、公図上に表示された区画がそのまま現地での大きさを必ずしも表わしていないことは一般に認められているところである。

してみれば、公図にあらわされた本件各土地の地番の範囲を公図上で測ってみたところで実際の土地との関連性が前述のように全くないのであるから、実際の土地の面積の手掛りには全くならないものである。

従って、本件各土地および隣接地の公図上の面積と、これら登記簿の表題部の地積を対比してみたところで全く意味のないことであり、これによって実際の面積を推測するのは失当であるといわなければならない。

三(一)  荘川登記官がした本件各分筆登記処分はいずれも適法になされたものである。

(1) 土地の分筆の登記とは一筆の土地を分割して数筆の土地とする登記をいう。そして、土地の分筆の登記は土地登記簿の表題部に記載された所有者又は所有権の登記名義人の申請によってなされるものである(法第八一条ノ二第一項)。土地の分筆の登記はその登記によって効力を生ずることになるから、その性質上当該土地の所有者の申請(意思)によってのみするのを原則とし、例外を除いて登記官の職権でもなし得ないのである。

更に、土地の分筆の登記の法的性格についてふえんすれば、分筆登記は客観的に存在する一筆の土地を土地の物理的形状には何らの変動のないまま登記簿上細分化して数筆の土地としその所属籍を変更するにすぎず、一応争いのない法律事実又は法律関係について公の権威をもって形式的にこれを証明し公の証明力を与える公証行為であって、いずれも当該土地の権利関係、物理的形状を変更確定するものではなく、隣接地との境界、外延、範囲に変更を生じるものではないから、当該土地の所有者はもとより、隣接地の所有者の権利義務にも何らの影響を与えるものでもない。

(2) 登記の申請は法律の定める書面を提出してこれをする(法第三五条)。書面は「申請書」と「添付書面」に大別することができる。

従って、分筆登記の申請は、分筆登記申請書と添付書面を提出する。添付書面として申請書の副本のほか、地積の測量図が必要である(法第八一条ノ二第二項)。申請書に記載された地積をこの地積測量図によって明らかにするのである。

つぎに、分筆登記申請書の提出があったときは、登記官はそれを受領し、直ちに受付帳及び当該申請書に所要事項を記載した上で申請に関する事項を調査する。

調査は、申請書及びその添付書面、登記所備付けの登記簿、地図等関係資料に基いて調査する他、必要があれば実地調査をする。調査の結果、却下事由が認められないときは、申請に基いて登記簿に記入することとなる。

(3) 本件(一)ないし(四)土地の分筆経過は原告ら主張のとおりであるが、これら分筆登記申請は、いずれも当時の所有者訴外亀井拾光から委任を受けた土地家屋調査士兼司法書士である訴外杉山朝造が、分筆登記申告書及び求積計算を含む地積測量図を作成し、同訴外人が代理人となってそれぞれの日に岐阜地方法務局荘川出張所に提出したものである。

これを受けた同出張所登記官は前記関係資料に基く調査をした結果、これを相当としてそれぞれの日に分筆登記を実行した。即ち、当時の登記官石神力は同出張所の所長として昭和四〇年二月に赴任し、約三年間同出張所の登記事務を処理したが、原告ら主張のような事実は全く承知しておらず、また本件各分筆登記申請は土地家屋調査士兼司法書士という有資格者によって適式になされ、これに基き申請書及び測量図は真正に作成されたものと認めて登記を適法に済ませたものであり、登記官の右行為には何らの故意過失はない。

(二)  原告らは本件各分筆申告書添付の測量図に分筆後の一、〇二三番の一(いわゆる元番)の記載がないことから、分筆前も分筆後も分筆元地の所在、形状ともに全く不明であり、かかる分筆申告は受理できない旨主張する。

しかし、本件各分筆申告書には実測図及び地形図が添付されており、右地形図(分筆図)によれば、一、〇二三番の一は一、〇二三番の七から一、〇二三番の一七の東側に存在することは明らかである。

昭和四一年五月一一日本件各分筆申告書がなされた当時の土地台帳法第二九条によれば、分筆をしたときは、測量して各筆の地積を定めることが建前とされていた。

しかし、従来からの取扱いとして、分筆された土地の一方を測量してこれを元地の地積から控除したものをもって、他の土地の地積としても妨げないこととされていたことから、測量図には一、〇二三番の一の測量を省略したので右地番の記載がないのである。

従って、測量図に右地番の記載を欠いても分筆元地である一、〇二三番の一の所在、形状は申告書添付の地形図に明瞭に図示されているのである。

尚、本件各分筆申告書は、土地台帳法施行細則第一二条第一項所定の記載事項を具備した適法な申告であり、添付の地形図により元番である一、〇二三番の一の土地外二筆と分筆された各土地間の分割線を公図上に画するのに何らの支障はない。

(丙)証拠《省略》

理由

第一  一 《証拠省略》によると、本件(一)ないし(四)土地はもと岐阜県大野郡荘川村大字野々俣字後谷一、〇二三番一土地(以下、分筆後の各土地を地番のみで表示する)の一部であったが、(1)昭和一八年八月一三日同番一土地と同番二土地に分筆された後、(2)右同番一土地は昭和四一年四月二二日これが同番一土地三二八三、〇六一平方米、並びに同番三土地一八八六三二平方米、同番四ないし六土地に分筆され、(3)その後右同番一土地は同年五月一一日これが同番一土地八〇五、九〇二平方米、同番七土地一六一、四四四平方米、同番八土地一六二、〇〇八平方米、同番九土地一六二、〇〇〇平方米、同番一〇土地一六二、〇一六平方米(本件(一)土地)、同番一一土地一六一、八四七平方米、同番一二土地一六四、三九七平方米、同番一三土地一六二、〇二八平方米、同番一四土地一六二、〇〇〇平方米、同番一五土地一六二、〇〇八平方米、同番一六土地一六二、〇二四平方米、同番一七土地一七五、一五四平方米、同番一八土地一七四、七六五平方米、同番一九土地一六五、〇一〇平方米、同番二〇土地一七三、四七五平方米、同番二一土地一六六、九七六平方米(本件(三)土地)に分筆され、(4)右同番三土地一八八、六三二平方米は同年八月二三日同番三土地八九、四五五平方米と同番二七土地九九、一七六平方米(本件(二)土地)に、(5)又、右同番二土地はその後同番三六土地と同番五七土地、同番五八土地、及び同番五九土地九、九二〇平方米(本件(四)土地)と同番六〇土地に各分筆されたこと、右(3)(4)(5)の各分筆登記申請は訴外亀井拾光がこれを行ったことが各認められる。

二 そして《証拠省略》と、《証拠省略》を対比すると、右(3)(4)(5)の各分筆登記申請に添付の地積測量図は本件絵図(岐阜県大野郡荘川村野々俣組第弐拾八号字ウシロ谷絵図と題するもの)に基いて所謂三斜法を用いて各土地の分割及び求積がなされていることが推認されるところである。

第二  一 そこでつぎに、本件絵図について検討する。

(一)  本件絵図のようなものを一般に公図と呼んでいる。公図とは旧土地台帳法施行細則(昭和二五年法務省令第八八号)第二条第一項に基き登記所が保管していた土地台帳附属地図である。

ところで、公図は明治六年の地租改正から明治中期にかけて完成されたものであって、測量等はまず地元の住民、戸長、総代人等が行い、一筆毎の筆限図を作成し、これをつないで字限図、村限図を作成した。そして、官吏は右の測量に誤りがないかどうかを現地に赴いて確認するという仕組みになっていた。そのような仕組みの上、当時の測量技術の未熟さからみて精度は低く、又市街地、田畑、山林、原野等によってその精度を異にしていた。明治一八年ごろからは地図の更正が行われるようになったが、これも或る程度地方民の自治に委せ図面はまず地主で作成し、これを官吏が実地にあたって検査し補正するという方式が採用された。

右のような公図はもともと地租徴収の目的から作成され課税台帳としての土地台帳の附属地図として台帳諸表とともに長い間税務官署において管理されて来たものである。従って、公図は土地の事実状況を把握して地租徴収の基礎資料とするために作成されたものであり、権利関係を公示して不動産取引の安全をはかるという登記制度の観点から作成されたものではない。

このような公図はその作成された当時の仕組み、当時の技術、作成された目的からみてせいぜい土地の位置関係、形状の大略を示すに止まり、一般にその精度は低く充分な信頼を置くことはできない。

(二)  昭和二五年に台帳事務が登記所に移管されたことに伴い、このような公図も土地台帳とともに登記所に移され、その後昭和三五年法律第一四号による不動産登記法の一部改正により旧土地台帳法(昭和二二年法第三〇号)が廃止され、公図はその法的根拠を失ったが、尚不動産登記法第一七条所定の地図が整備されるまでの応急的暫定的な措置として登記所に保管され、引き続き利用されている(昭和三五年三月三一日法務省令第一〇号不動産登記法施行細則の一部を改正する省令第一六条、付則第七条第一項第五号等)。

二 ところで、昭和三五年法律第一四号によって改正された不動産登記法第一七条は登記所に地図を備える旨規定する。

(一)  土地の表示に関する登記は、権利の客体となるべき土地の物理的状況を登記簿上において特定して明確に公示するため、土地登記簿の表題部に当該土地の所在、地番、地目および地積を登記することとしている。しかし、これらの文字のみの表示では登記した土地が現地のどこに位置し、その形状ないし区画がどのようなものであるかを明らかにすることはできないので、最も的確に表現できる地図でこれを明確にしようとするものである。

このように右の地図は登記簿の記載と一体となって土地を特定する機能を有するものであるが、この機能が発揮されるためには、登記によって観念的に示されている各筆の土地の区画線を現地について現実に示しうるものであることを要する。即ち、その為には筆界点の位置を求めるための基準となる図根点が現実にもあって、それが図面上にも表示されていること、筆界点が図根点からの距離と方向によって一定の精度で現地を示しうるものであること、現地における図根点が確実に保護されるかあるいは図根点そのものがより高次の図根点から復元することが可能なものであること等のいくつかの要件を具備していることが必要である。

(二)  このような精度の高い図面があまねく登記所に備わることとなれば、右図面に信を置いてする不動産取引の安全はこれまで以上に確保されることになる。

現在、右(一)の要件を備える地図としては土地改良法による確定図、土地区画整理法による換地図の他、国土調査法による地籍図(昭和三一年三月二〇日民事甲第三六号通達を経て昭和四六年三月一五日民事甲第五五七号民事局通達により、国土調査法第二〇条の地籍図に右不動産登記法第一七条地図の積極的備付が推進されることとなった。準則第三〇条参照)が挙げられるが、国土調査法によって調査主体による事業の計画及び準備、作業工程及びその検査、測量技術等の他測量の実施方法を一べつしても理解できるように、新規調整については多額の予算的裏付を必要とする上、多くの時間と多くの人の労力が予想され、又土地所有者の協力も必要である為、早急に調整を期待するのは困難である。昭和五五年までの地籍調査の実施状況を見ても岐阜県の未着手市町村は九五にものぼり(法務省民事局発行「再訂国土調査登記詳解」二三頁参照)、本件各土地のような僻地の山林は原告らが主張する分筆登記の昭和四一年ごろには到底そのような調査は実施されて居らず、地籍図のような不動産登記法第一七条所定の地図は存在しないのである。

従って、前記一(二)のとおり旧土地台帳附属地図が利用されるのも致し方ないといえる。

第三  一 分筆登記申請は申請書の副本と地積の測量図を提出する(法第三五条第八一条ノ二第二項)。

登記官は申請書を受け取り受付帳に記載したときは、受付番号の順序に従って遅滞なく申請に関するすべての事項を調査することを要する(法第四八条。不動産登記法施行細則(以下、特に断わらないで細則という時は不動産登記法施行細則をいう)第四七条)。

登記の申請書およびその添付書類を審査は結果、実地調査を必要と認めた場合にの、準則の定めるところにより所要の実地調査を行わなければならない。

その結果、登記官は登記の申請が適法であると認めたときは、受付番号の順序に従って遅滞なく申請にかかる事項を登記しなければならない(法第四八条)。

二(一) 地積の測量図とは各筆の土地について、方位、地番、隣地の地番並びに地積及び求積の方法を記載したものをいう(細則第四二条ノ四第一項)。

(1)  即ち、第一に地積図は分割後の土地の位置、範囲(分割線)を図をもって示し、登記官がこれを資料として分割線を決定する為にある。

(2)  第二に、分割後は分割線を地図に記入し(準則第一〇三条第四号)公示するが、地積測量図も保存し(細則第一五条ノ二第三七条ノ四)より詳細に公示する為である。

(3)  第三に地積計算及びその正確さを登記官に示すとともに公示によって一般に対して担保しようとする為である。

(二) 登記官は事情の許す限り積極的に不動産の実施調査を励行し、その結果必要があるときは、不動産の表示に関する登記を職権でしなければならない(昭和三八年四月一五日民事甲第九三一号民事局長通達。準則第七八条(現行第八一条))。

実地調査をする際の利害関係人に対する通知等の諸般の手配、所有者及び隣地所有者の立会、質問検査の趣旨説明等の規定が準則第八八条ないし第九〇条(旧第八六条ないし第八九条)に規定されており、又、岐阜地方法務局土地建物実地調査実施要領(昭和四一年六月一五日訓令第二号)にも細部の規定があり、殊にその第一六条には土地の境界を確認するには利害関係人に立会を求めて、その同意の有無について調査するものとし、又地積の精度を確認するには右に確定した境界により形状の一辺もしくは検線(照査線)をテープ測定または便宜な方法により実地測量し、地積測量図と符合するかどうかを調査するものとするとある。

実地調査の結果、当該土地について表示に関する登記を必要とするときは、登記官は当該登記の申請に必要とされている所要の各種の図面を作成し、申請書に添付された図面と同様の取扱い及び処理をしなければならない(準則第八八条第四項第五項(旧第八六条第四項第五項)。

登記官が職権で作成した地積の測量図は土地図面綴込帳に編綴して永久保存し(細則第一五条ノ二第一項第三七条ノ四第一項)、閲覧に供し公示する。

三(一) 確かに法第一七条所定の地図が整備された上での右一の分筆登記手続の結果は、そのような地図に信頼を置いてする不動産取引の安全がより確実に担保されるといえる。

これに基いた上での地積の測量図は右二(一)(1)ないし(3)の機能を可成り充分に果し得る。即ち、分割線が正確に図示され、それが細線で記入された地図は抽象的不可視的な幅のない境界線を常に現地に向って投影示現していると考えることが可能となる。

そして又、地積も可成り正確で信頼できる上、これを踏まえての登記官の実地調査もより容易に、且つより精密度の高い地図の作成が期待されるのである。

(二) 然しながら、前記第二項二(二)でみるように法第一七条所定の地図が現在全ての登記所に備っているとは限らない。

(1)  土地台帳制度のもとでは地積図の他地形図を添付させていたが、これは事実上不可能であったから、登記簿と台帳が一元化された後においてはそのような地形図の提出は求められていない。

然し、前記第二項一(二)のとおり法第一七条の規定による地図が整備されていない土地については、旧土地台帳法施行細則第二条の規定による地図につき従前の取扱いが暫定的になされているのであるから、そのような旧地図に分割線を記入し、当該分筆後の各筆の土地の所在を明らかにすることとされており、地積の測量図に基いて旧地図を修正する。この場合において旧地図の記載が現地の地形と相違するために、地積の測量図による分割線の記入が困難なものについては可能な限度において修正すれば足りるとされている(昭和三七年一〇月八日民事甲第二八八五号民事局長通達)。

(2)  又、地積測量図では分割線が明確にされなければならない。分割後の土地のうち、一筆については必らずしも求積及びその方法を明らかにすることを要しないとされている(準則第一一一条(旧第一〇九条))。

(三) 従って、法第一七条所定の地図作成は前記第二項二(二)でも検討したように人的物的にも多くの準備と労力と協力とが必要であって、又多くの時間と経費、並びに高度の測量技術を要し一朝一夕にして出来上るものではない。従って、法第一七条の地図備付は近い将来に備えるといういわばプログラム的な規定といわざるを得ない。従って又、右のような地図が備わらない以上前記第三項二(二)の登記官のする実地調査は事情の許す限り励行しなければならないとは、登記所の機構、人員、職員の能力、予算関係及び事務の繁閑等を綜合的に考慮判断して、実地調査をして職権による登記をすることが事実上可能である場合をいうと解せざるを得ない。

このように、登記制度は公示目的を達成する為の極めて技術的な制度であって、測量技術、図面作成の技術、公簿作成の工夫等、その時々の水準に照らし自ずと制約されるところがあるのである。

四 分筆登記は分筆登記手続が行われることによって実体上の土地の個数と範囲の変更をもたらすから、登記官の処分行為と看られる。

然し、登記官の職責は不動産に関する物理的形状、個数、権利関係の変動を登記簿という公簿に記入し、公示に携わるものであるから、右の処分行為も登記簿という公簿の記載、ないし地図への記入によって処分し、以て公示に資するという形式的処分行為と考えられる。

これは法第一七条所定の地図が整備され実地調査をしたところで、自らは現実の土地に改変を加えることにはならず、その改変は現実にはその土地の所有者の取引に委されたり、ないしは隣地所有者との協議に委されたり、或いは裁判所の形成訴訟の結果に委ねられるのであって、登記官としてはこれら他の要因によって客観的に存在するとされる権利関係ないしは境界線をば現実に確認し、これを登記簿や図面上に正確に記入するところにあるのであり、あくまでも実体上の権利関係ないしは物理的形状等に改変を加え、創造するものではないのである。

第四  以上の現実を踏まえ、本件各分筆登記手続について検討する。

一  《証拠省略》によると、

(一)  訴外亀井拾光は土地家屋調査士である訴外杉山朝造に委任し、夫々求積計算を含む地積測量図を添付の上、(1)昭和四一年五月一一日本件(一)(三)土地の分筆を含む前記第一項一(3)の、同年八月二三日本件(二)土地の分筆を含む同項一(4)の、同年一二月二四日本件(四)土地の分筆を含む同項一(5)の各分筆登記申請を岐阜地方法務局荘川出張所にし、同出張所登記官石神力は所与の要件を審査し、各分筆登記手続を実行したこと、

(二)  右各地積測量図はいずれも本件絵図に基いて作成されており、(1)本件(一)ないし(四)土地とその余の土地を区分する分割線が夫々記入されており、且つ、(2)本件(一)ないし(四)土地の地積の求積が夫々なされていること、しかし、(3)本件(一)(三)土地分筆の際の一、〇二三番一土地については、又本件(二)土地分筆の際の一、〇二三番三土地については、又本件(四)土地分筆の際の一、〇二三番三六土地についてはいずれも求積が行われず他の土地との差引計算がなされているにすぎないこと、更に(4)本件(一)土地は一、〇二三番九土地の北側、並びに一、〇二三番一一土地の南側にはさまれて位置し、本件(三)土地は一、〇二三番二〇土地の南側に位置し、又、一、〇二三番一土地は一、〇二三番一八ないし二〇土地、及び本件(三)土地の西側に、又一、〇二三番七ないし九土地、本件(一)土地、一、〇二三番一一ないし一七土地の東側に帯状に位置していること、本件(二)土地は一、〇二三番二七土地の南側に位置していること、本件(四)土地は一、〇二三番六〇土地の南側、並びに一、〇二三番五八土地の北側にはさまれて位置し、一、〇二三番三六土地は一、〇二三番六〇土地の北側に位置しているうえ、以上の各土地の夫々の形状が明らかにされていること、

が各認められるところである。

二  そうすると、右登記官石神力は前述の第三項三(二)(1)の昭和三七年一〇月八日民事甲第二、八八五号民事局通達及び準則第一一一条(旧第一〇九条)に準拠して審査をし、これに従って各登記を実行したものであることが判る。

然し、右登記所には未だ法第一七条所定の地図が存在しないことは顕著な事実であるから、分筆登記手続申請をする側もこれを受理する側も結局は旧来の絵図に頼らざるを得ないところであり、又これを頼りに求積が不正確だとしても実地調査をすることは何らの意義もなく、又右登記所をして人跡まばらな本件(一)ないし(四)土地のような可成り広い山林の境界線ないし面積を調査させることも現代の伊能忠敬が存在すれば格別、そうでなければ不可能を強いるものといわなければならず、そのようにすることが却って同登記所に後続する登記事務の渋滞を招くことにもなるのである。

そして又、右のような取扱いであっても、当時の状況としてはその各筆の土地の位置、形状、境界線等の大略は図面上は明らかになったものというべく、その程度の公示としては機能しているから、これを以て満足せざるを得ないのである。

三  観方をかえれば、法第一七条所定の地図以外には公図上に表示された区画がそのまま現地での大きさを必らずしも現わしていないことは一般的に認められているところであって(それ故に我国の不動産取引については意思表示を以てその効力発生要件とし登記はこれを物権変動の成立要件ないしは効力要件ではなく対抗要件とするにとどめ、又登記に公信力を与えていないことも右登記制度の現状と関係がある)、右以上の土地の位置、形状、境界線等の詳細は、これら土地の取引に係る当事者が実際に現地を踏査して筆界標識、境界木(石)等の物証や、隣人ないし古老らの人証によって確認の上これを行うべきことは取引上の常識といってよいところ、右登記制度の不備を見越し、原告らに本件(一)ないし(四)土地を売渡したとされる訴外亀井拾光が、公簿上の面積と実際の面積との齟齬があることを奇貨として故意に右各土地を原告らに売渡そうと企図したならば、原告らとしては(殊に原告衣浦不動産及びその代表者でもあった原告加藤久吉は不動産業者であることが《証拠省略》によって認められるところから右両原告にとっては尚更である)そのような考えに乗ぜられることなく右の常識を弁えて現地の確認をした上で買取の交渉をすべきであったのに、原告加藤久吉は昭和四一年一二月下旬訴外亀井拾光らの案内で現地附近へ赴いたが降雪の為これらを確認しないままであったことが《証拠省略》によって窺えるところであり、又、原告新東鋳造にもそのような形跡はなく、若し原告らがその主張のような損害を蒙っているのならば、それはそのような不誠実をした訴外亀井拾光の欺罔手段に直接乗ぜられた損害というべきものである。従って、その責は貰えるものは貰っていずれへかに遁走した同訴外人がこれを負うべきものであるのに、これをさしおいて被告国に対してその責任を転嫁するのは登記官ひいては国に不可能を強いるものといわざるを得ない。

しかも、右各分筆登記手続が行われた当時は原告らの本件(一)ないし(四)土地買受の事情は全くなく、これらはその後において訴外亀井拾光の申入れが端緒となって行われていることが明らかであるから、当時右登記官としては予想出来る事情にない。

四  更に付言するに、原告ら主張の損害の計算も結局は別紙図面のとおりの絵図に基いてしており、これが右三のような実状であるならば、右公図にあらわされた本件各土地の地番の範囲を公図上で測ってみたところで実際の土地との関連性が全くないのであるから実際の土地の面積の手掛りには全くならないものであって右損害計算の根拠とはなり得ないものといわなければならない。

第五  以上のとおり、本件各分筆登記手続については、原告らの主張がいずれも登記官に不可能を強いるものであってこれに何ら故意過失はないし、又その主張する損害の立証も根拠がないに帰するから、原告らの被告国に対する本件各損害賠償の請求はいずれも理由がない。

よって、本訴請求はいずれもこれを棄却することとし、訴訟費用の負担につき民事訴訟法第九三条第一項本文第八九条を適用の上、主文のとおり判決する。

(裁判官 宗哲朗)

〈以下省略〉

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